パラダイムとは何か?コヴィー「7つの習慣」
スティーブン・R・コヴィー
「7つの習慣」
キングベアー出版
「7つの習慣」。これは、自己啓発の名著中の名著です。
この本は、3つの観点から述べられています。
- 私的成功
- 公的成功
- 再新再生
今回は、1つめの「私的成功」について考える前に、本書のキーフレーズとなる「パラダイム」についてまとめておきます。
「パラダイム」とは「ものの見方」のことであり、私たちの認識や行動を支えています。
何のことはない、ただの見方だと思われた方もいるかもしれませんが、これは極めて重要な概念であり、私たちの在り方を考える上で必須の概念です。
人は誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちです。しかし、コヴィー博士は次のように指摘します。
私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件づけされた状態で世界を見ているのである。
つまり、私たちが物事を認識するにあたって、完全な姿を認識することは不可能であり、人は誰しも「パラダイム」という「色眼鏡」を通してしか現実と接することはできないということです。
これは換言すれば、私たちひとりひとりのパラダイムが異なれば、現実の在り方もそれだけ異なるということです。
つまり私たちが世界の在り方を規定しているのであり、このことはデカルトがかつて指摘した「コギト・エルゴ・スム(我思う、ゆえに我あり)」ともつながってくるのではないでしょうか。
したがって、周りの人々と関わろうとするとき、パラダイムの変化が必要となります。つまり、「パラダイムシフト」です。
コヴィー博士は、自身の体験をもとに次のように語ります。
彼は地下鉄に乗った際、一人の男性とその子供たちが乗り込んでくるのを目にしました。子供たちはひどく興奮しており、一方で男性はそれをとがめる様子はありません。
これに対してコヴィー博士は、子供たちが周囲の迷惑となっていることを男性に伝え、おとなしくしてもらうよう忠告しました。
ところがこの男性は次のように言いました。
「ああ、そうですね。どうにかしないといけませんね・・・病院の帰りなんです。一時間ほど前、あの子たちの母親が亡くなって・・・これからどうしたらいいのか・・・あの子たちも動揺しているんでしょう・・・」
この瞬間、コヴィー博士のパラダイムは大きくシフトしました。突然、子供たちの様子が全く違って「見えた」のです。そして、「考え」も「感情」も「行動」も変化しました。
皆さんもこのような経験があるのではないでしょうか。これが、「パラダイムシフト」です。
以下、まとめになります。
- 「パラダイム」とはものの見方のことである
- 私たちの行動や認識は、各々が持つパラダイムに支配されている
- 他人を理解するには、時にはパラダイムの変化、すなわちパラダイムシフトが必要である
最後までお読みいただきありがとうございました!
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