パラダイムとは何か?コヴィー「7つの習慣」

2022年8月9日

スティーブン・R・コヴィー

「7つの習慣」

キングベアー出版

「7つの習慣」。これは、自己啓発の名著中の名著です。

この本は、3つの観点から述べられています。

  • 私的成功
  • 公的成功
  • 再新再生

今回は、1つめの「私的成功」について考える前に、本書のキーフレーズとなる「パラダイム」についてまとめておきます。

「パラダイム」とは「ものの見方」のことであり、私たちの認識や行動を支えています。

何のことはない、ただの見方だと思われた方もいるかもしれませんが、これは極めて重要な概念であり、私たちの在り方を考える上で必須の概念です。

人は誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちです。しかし、コヴィー博士は次のように指摘します。

私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件づけされた状態で世界を見ているのである。

つまり、私たちが物事を認識するにあたって、完全な姿を認識することは不可能であり、人は誰しも「パラダイム」という「色眼鏡」を通してしか現実と接することはできないということです。

これは換言すれば、私たちひとりひとりのパラダイムが異なれば、現実の在り方もそれだけ異なるということです。

つまり私たちが世界の在り方を規定しているのであり、このことはデカルトがかつて指摘した「コギト・エルゴ・スム(我思う、ゆえに我あり)」ともつながってくるのではないでしょうか。

したがって、周りの人々と関わろうとするとき、パラダイムの変化が必要となります。つまり、「パラダイムシフト」です。

コヴィー博士は、自身の体験をもとに次のように語ります。

彼は地下鉄に乗った際、一人の男性とその子供たちが乗り込んでくるのを目にしました。子供たちはひどく興奮しており、一方で男性はそれをとがめる様子はありません。

これに対してコヴィー博士は、子供たちが周囲の迷惑となっていることを男性に伝え、おとなしくしてもらうよう忠告しました。

ところがこの男性は次のように言いました。

「ああ、そうですね。どうにかしないといけませんね・・・病院の帰りなんです。一時間ほど前、あの子たちの母親が亡くなって・・・これからどうしたらいいのか・・・あの子たちも動揺しているんでしょう・・・」

この瞬間、コヴィー博士のパラダイムは大きくシフトしました。突然、子供たちの様子が全く違って「見えた」のです。そして、「考え」も「感情」も「行動」も変化しました。

皆さんもこのような経験があるのではないでしょうか。これが、「パラダイムシフト」です。

以下、まとめになります。

  • 「パラダイム」とはものの見方のことである
  • 私たちの行動や認識は、各々が持つパラダイムに支配されている
  • 他人を理解するには、時にはパラダイムの変化、すなわちパラダイムシフトが必要である

最後までお読みいただきありがとうございました!